2018年米国で話題になったデバイス機能、プラットフォームの新機能を活用した先進的デジタルキャンペーンを紹介
2018年も残すところあと10日程となりました。
日々、多様化するデジタルユーザーのニーズに対して誰もが考えなかった新しいスタイルのキャンペーンが今年はいくつかありました。今回は、2018年米国でヒットしたデジタルキャンペーンをまとめました。
1. ESPN、NBAの決勝戦をプロモーション
ESPN(米国のスポーツ専門チャンネル)は、NBA決勝戦を宣伝する為に、ニューヨーク市周辺のiPhoneユーザーにAirDropで「なぜ、NBAの決勝戦を観戦しないの?」と、送信しました。この戦略の狙いは、オーディエンスにFOMO(Fear of missing out/取り残されることへの恐れ)を感じさせ、多くの人にモバイルを手に持ってもらう事です。
ESPNは、AirDropを使用した試験的なマーケティングを主な目的としていましたが、広告に使用されていなかったモバイルの機能をうまく利用した斬新なプロモーションであると評価されました。
ポイント:
ESPNのように小規模なテストプロモーションを実施し、オーディエンスの反応とデータを見てから大規模なキャンペーンを行うことにより、効果的なプロモーション活動が可能になります。
キャンペーンを大きなステップから始めず、まず小さなステップを踏み、効果のあるなしの要素を把握してから次に進むことにより、オーディエンスへうまくリーチできる可能性が高くなります。
2. バーガーキングの最新マーケティング戦略
2019年までに、全世界で約27.7億人がソーシャルメディアを利用すると予測されています。世代により主に利用するソーシャルメディアに違いはあるものの利用者は年々増加の一方で、デジタルキャンペーンを運用する際にソーシャルメディアは欠かせない媒体となっています。
バーガーキングが考えた新しいマーケティング戦略は、ソーシャル上で話題となっているトピックを自然に自社ブランドに組み込み宣伝する方法です。この方法は、瞬く間にソーシャル上で話題になりキャンペーンを大きく成功させました。
バーガーキングが選んだトピックは、2017年の後半から話題になっていた「ネットの中立性」でした。ハンバーガーを注文してから商品を受け取るまでの時間に分かりやすく例えたコマーシャルを放送しました。話題性のあるトピックと自社ブランドを掛け合わせ、バーガーキングのワッパー(ハンバーガー)をソーシャル上でのトピック上位に急上昇させる事に成功しました。
ポイント:
今話題になっているトピックをキャッチするだけでなく、近い将来オーディエンスが興味を持つトピックを予想する必要があります。
このキャンペーンの成功の裏にあるのは、継続して話題となっているトピックをうまくキャッチしたところです。キーワードの選択には、Trendmapのようなツールが参考になります。このツールは、世界で何がトレンドになっているのかを見ることができ、話題のトピックが一定の地域だけなのか、それともグローバルな動向なのか、様々な情報を知ることが出来ます。
3.Wayfairは、インスタグラムからユーザーをウェブサイトに誘導
EC市場では、購入率が高くなるコンテンツについてよく話題になった年でした。すでに購入率向上を目的とした適切なコンテンツに対応させている企業もあり、コンテンツの重要性は日々注目されてきています。
Wayfair(米国のEC家具・インテリアのストア)は、どこよりも早くシームレスなオンライン・ショッピングをインスタグラム上で提供し、成功させました。
各商品にタグをつけ、ユーザーがタグをクリックすると商品のランディングページに進みます。また、ランディングページを少し下にスクロールすると関連商品も見ることができます。このようにして、インスタグラムから多くのユーザーをウェブサイトに誘導し売上を作る事に成功しました。
ポイント:
Wayfairは、多様なロケーション(自宅、オフィス、プレイグランド等)に合わせた現実的な広告表現を行い、オーディエンスの幅を広げ効果的にプロモーションを行いました。
そして、最も重要なのは購入までのプロセスがシームレスであることです。プラットフォーム内をスムースな動きにすることにより、かご落ち率も下がる事で売上向上が可能になりました。
4.ジントニックで有名なゴードンズが、ロケーションを絞ったキャンペーンを実施
パーソナライズド広告と同様に、配信地域をターゲティングしたキャンペーンは大きな効果がが見込める施策です。
今年、ゴードンズは電車が遅延している駅周辺をターゲティングし、電車を待つまでの間にジンを楽しんでもらうキャンペーンを実施しました。このキャンペーンは、電車の遅延が多くの人に情報として供給される状況で、成人ユーザーに対して現在地から一番近いジンを購入できる場所をオファーしました。64%のユーザーがこのキャンペーンで「購入したいと思った」と回答しています。
ポイント:
消費者にとって有益な情報をターゲティングした地域に配信することはとても効果的です。公共機関の遅延はイライラさせるものですが、その隙間時間にユーモア溢れるオファーを提案した新しいマーケティング手法は大きな話題を呼びました。
ネガティブなところからポジティブを生み出す、多方面から考えることにより新しく生み出されたマーケティング手法です。
まとめ
ユーザーの立場に立って考えることは常に重要で、UI・UXのポイントをしっかりさせプロモーションすることが成功の近道です。
どの企業も使っていないデバイス機能を使った広告を行う、すでに話題になっているトピックと自社の商品を掛け合わせてブランディングする等、新しいマーケティング手法により話題を作り出すことができます。
また、ゴードンズのプロモーションのようにネガティブと思われるタイミングにエンターテイメント性のある提案をユーザーに投げかけるアイデアは今までになく新鮮です。
来年もモバイル上のプロモーションは多種多様になるでしょう。常に新しいプロモーションには注目していきたいと思います。