ECサイトの広告ビジネス5
~Amazon、ZOZO、楽天、ヤフーの広告ビジネスの現状をまとめました~
第5弾:ヤフーの事業全体の現状と広告ビジネス
シリーズでお送りしてきました「ECサイトの広告ビジネス」ブログですが、いよいよ最終回となりました。最後は、2016年に広告収入58億円を達成したヤフーについてまとめました。
ヤフーのコマース事業の一つである仮想モール「Yahoo!ショッピング」は、2013年に出店に関する費用を無料化し2018年には出店店舗数が75万店を達成。出店店舗数、出品商品数ともに国内1位となりました。ちなみに、ライバルの楽天の仮想モール「楽天市場」の2018年時点での出店店舗数は約46万店です。
ヤフーの数字
日本最大級のエコシステムを築いているヤフーですが、その大きさを数字の面から改めて見ていきましょう。
6つの事業
ヤフーが属するソフトバンクグループは、以下6つの事業をうまく組み合わせた戦略を展開しています。
- 携帯電話キャリア
- イーコマース(ヤフオク!、Yahoo!ショッピング)
- メディア(Yahoo!ニュース、広告サービス)
- 検索(Yahoo!検索)
- 決済・金融(Yahoo!かんたん決済、Yahoo!ウォレット、PayPay)
- 会員組織(有料会員「ヤフープレミアム」)
売上収益と営業利益
2017年度通期の連結決算によると…
- ヤフー全体の売上収益は8,971億円(前年度比5.1%増)でした。
- そのうち、「ヤフオク!」や「Yahoo!ショッピング」などが属するコマース事業の売上収益は5,965億円(前年度比6.3%増)、営業利益は752億円(前年度比4.4%増)でした。
- 広告関連サービスが属しているメディア事業は、スマートフォンアプリの機能を改善したことが功を奏し、売上収益が2,883億円(前年度比2.6%増)、営業利益は1,691億円(2.9%増)でした。
- また、ヤフーは、2018年も販促活動費やデータードリブン化に積極的に投資することを発表しています。販促活動費には2017年時点で560億円を投入したこともあきらかにしています。
「Yahoo!ウォレット」
2017年の「Yahoo!ウォレット」の口座数は、3,987万件を突破しました。2018年以降は「Yahoo! JAPAN」アプリにてQRコードやバーコードの提示や読み取りだけで簡単に決済ができるオフライン決済サービスを本格的に展開しています。
「Yahoo!プレミアム会員」
2017年6月からソフトバンクのスマートフォン利用者が「Yahoo!プレミアム」の特典を使用できるプランを提供し、その結果、プレミアム会員数は1,793万人に上りました。
いかがでしょうか。近年、SmartNewsや楽天、ZOZO、メルカリなど、それぞれの事業部の競合他社も勢いを増していますが、ヤフーがいかに国内において大きな存在であるかがわかります。
このようなトレンドの中で、ヤフーは「Yahoo!ショッピング」に出品している商品の露出を強化する広告サービスも色々と始めています。
「Yahoo!ショッピング」の広告サービス
それではまず、「Yahoo!ショッピング」内で利用できる広告サービスを見ていきましょう。
主に以下のような広告サービスがあります。
StoreMatch
CPC課金で、ショッピングマーチャント限定の“キーワード連動型広告”です。「Yahoo!ショッピング」内の検索結果画面の目立つ位置に「ストアのイチオシ!」という広告を表示できるもので、適切なアプローチで購買意欲の高いユーザーをストアへ誘導できる、2017年の平均ROASは700%以上と高い効果がみられています。初期費用や固定費もなく、最低入札価格が11円(税抜き10円)となっており、画像表示も可能です。
Store’s R ∞
「Yahoo!ショッピング」の出店者が利用できる基本無料の顧客育成CRMツールです。顧客の属性や行動履歴、ランクなど様々な情報を分析することができ、クーポンの発行などそれぞれの顧客にあったアプローチを可能にします。また、効果的なCRM活動が行えるため顧客と長期的な信頼関係を築くのにも役立ちます。
この「StoreMatch」と「Store’s R ∞」の両方を利用している「Yahoo!ショッピング」内の店舗の数は2000店以上あり、どちらも使用していない店舗と比較すると約4倍の売り上げ実績が上がっています。
「Yahoo!ショッピング」のその他のアクション
Yahoo!ショッピングLIVE
「Yahoo!ショッピング」専用アプリ上で「Yahoo!ショッピング」の出店者が販売する商品を紹介する動画をライブ配信することができる機能です。希望する出店者が事前に予約をすると、スマートフォンなどで撮影した動画をアプリ内で30分間配信することができます。大手仮想モールで同機能を実装したのは、ヤフーが初めてで、開始2週間で約100万動画が配信されました。
名古屋テレビ放送とのテレビ通販番組を放送
2018年3月には、名古屋テレビと「Yahoo!ショッピング」を連携したテレビ通販番組を放送しました。これは、通常の通販番組と同様に様々な商品を紹介する内容ですが、番組内で「Yahoo!ショッピング」内の店舗に誘導しネット通販を促すものです。「Yahoo!ショッピングLIVE」では、通販特番の放送に先駆けてライブコマースを配信し通販特番の宣伝も行いました。このライブコマースの累計視聴者数は7,649人となり、配信中に商品も売れました。
Yahoo!ショッピングアワードクラブ
「Yahoo!ショッピング」の高い販売力を持つ有力出店者に限定して、決済手数料の減額、広告原資や販促に役立つ情報の提供など様々な特典を付けるサービスです。
いかがでしょうか。国内最大級のメディアネットワークと、巨大なエコシステムによってマルチビッグなデータを持つヤフー。コマース事業の「Yahoo!ショッピング」も様々なアプローチを積極的に行っています。ヤフーに関する内容だけでもブログ連載ができそうです。
Amazon、ZOZO、楽天、ヤフーの全体の事業とその広告ビジネスは、今後も早い速度で変化していくことが容易に予想されます。弊社でも常にトレンドを研究し、クライアントの皆様に最も効果のでる最適なソリューションを提供しつづけてまいります。