Amazon Primeからマーケターが学べること
Amazonの四半期の予想利益を約6倍上回り純利益は30億ドル(約3300億円)に達したと話題になりました。
Amazonは、先進的なマーケティング手法と革新的な商品で新しいECを切り開き、現在ではApple、Googleに続き三番目に価値の高い企業と認められています。Amazonのマーケティング手法の一つとして、「Prime Day(プライムデー)」があげられます。これは、2015年にアメリカの感謝祭翌日に行われるブラックフライデーやホリデーシーズンのセール開始日となるサイバーマンデーに類似させた独自のショッピングデーであり、大きな成功をおさめました。
今年のPrime Dayは、7月16日の深夜から始まり36時間開催され、パソコン、テレビ、キッチン用品、ギフトカードにいたるまで様々な商品が販売されました。2018年の最終的な結果の詳細はまだ分かりませんが、2017年のPrime Dayを参考例にマーケティング手法を紐解きます。
● Prime Dayに数千万人に上るユーザーがAmazonアプリを利用し、アプリ内での注文は前年比の2倍以上となった
● Prime Dayの5日前、2017年7月11日にAmazon Primeに登録した新規アカウントの数はAmazon史上最高数を記録
● 何千万にも及ぶPrimeメンバーがAmazonで商品を購入し、2016年と比較して売上げ50%増
アプリデベロッパーやマーケターにとって、このAmazonの戦略結果から学べるポイントは沢山あります。
Prime Dayから学ぶポイント
● 販売のチャンスを生み出した:
Amazonや米国大手のNordstomeは、ホリデー期間中のビッグセールを待たずに独自の大セールイベントを提供しました。Amazonでは、Prime Dayです。このイベントでビッグセールを盾に多くのユーザーを獲得するという、独自のマ ーケティング手法を作り上げました。
● 万全な準備が必要:
Amazon Primeでは、利用者が急激に増え一時サイトに繋がらないトラブルが発生しました。Prime会員がログインできなかったりと問題が生じ、多くのユーザーがログインを諦め、購入前にキャンセルする人が出てしまいました。このサイトの不具合は、7200万ドル~9900万ドル(79.2億円~109億円)の売上げ減に影響し、通常稼動していれば最終的な総売上げは34億ドル(3740億円)に達することが出来たと言われています。サイトやアプリのトラフィックが増えると予測される場合、プラットフォームは万端の準備が必要です。
● 新規ユーザーの獲得:
Prime Dayは、Prime会員のみが利用できる会員限定のセールです。ユーザーは、この限定的なチャンスに大きな魅力を感じます。どこの国でも、「限定」感を利用するマーケティング手法は、大きな成功のチャンスがあります。Prime Dayは、会員数を増やすことも目標の一つであり、この限定された期間を利用し会員数を大幅に増やしました。2017年のPrime Dayはアメリカだけでもサインアップしたユーザーが85%も増えたという結果が出ています。
● エンゲージメント:
時間的な限定も消費者の購買意欲を高めます。Prime Dayは、36時間のタイムセールです。スーパーのタイムセール同様、オーディンスの購買欲を掻き立てます。時間内に購入しようとユーザーはログインする為、トラフィックはいつになく膨れ上がります。実際には、セール時間内だけでなくオーディエンスとのエンゲージメント率はPrime Day前後にも上がり、またAmazonの提供する他のプラットフォームでもエンゲージメントが増大したとの結果が出ています。Amazonは、エンゲージメントを高める為にタイムセール内で以下の点をユーザーに推奨しました。
○ 事前に買いたい商品をリサーチし、「ウォッチリスト」に登録しておく
○ Amazonプライム無料体験を利用する
○ Alexa対応デバイスの特別セールを提供
○ セール前のAmazonアプリインストールを推奨(商品リサーチの為)
ポイント:セールスプロモーションを計画する際に、サイト内やアプリ内など範囲を限定して広告することだけに注力せず、大きなビジョンで広告を検討した方が効果的です。例えば、SNSやニュースレター等を使用し、企業とユーザーの距離を縮めることにより良質なユーザー獲得への近道になります。
● クロスプラットフォーム
Amazonは、Whole Foods(アメリカの食料品スーパーマーケット)を昨年買収し、プライム会員はWhole Foodsで10ドル購入した場合、10ドルのキャッシュバックを貰え、Prime Day中にその10ドルを使用できるというPrime Dayに向けた会員特典を提供しました。Whole Foodsは、アメリカでは「グルメスーパーマーケット」と呼ばれ、商品の定価が他のスーパーに比べて高い為、クロスプラットフォームにすることで消費者のお得感を強め、販売の促進に成功しました。
● データドブリンである
成功させるマーケティング戦略は、データと向き合う事が大切です。広告の費用対効果やマネタイズはデータを通して計画的に実行することが重要です。Amazonは、データドブリンマーケティングによって、ブラックマンデーやサイバーマンデーに並ぶ、今までになかったセールスイノベーション「Prime Day」を生み出し、そこで驚異的な売上げを達成しました。これにより、Amazonはデータの重要性を企業利益額で証明したのです。
まとめ
Prime Dayは、ユーザーの立場に立って考えられた戦略でグローバルにユーザーを獲得し、大きな結果を出しました。まずは、ユーザーが何を望んでいるのかを最優先に考慮することが大切です。
Amazonのマーケティング手法は、マーケターがアプリの良質なユーザーを獲得する戦略を立てる際に、参考となり学べる点が多くあります。今までになかった提案(広告)をし、オーディエンスとエンゲージメントする。そして、利益の増大を図るにはデータを分析し、インサイトを知ることで成功へと導きます。
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