Appleが提供しているApple Newsアプリとは?
「信用は無形の財産」と言いますが、どこの国でも信用は人間関係やビジネス上で重要視されるポイントです。現在、デジタルモバイル上の様々な媒体で広告が可能になりましたが、この数年、広告主もパブリッシャーもより信頼できる新しい広告ソースを見つけだそうとしています。
Sharethroughの調査によると、ニュースの配信にはSNSよりも良質なパブリッシャーの方が信用性が高いという結果が出ています。84%以上の人が、ニュースを読む時はどこから配信されたニュースなのかソースを知ることが大切と回答しています。
例えば、今年2月に起こったケンブリッジ・アナリティカによる情報漏えい事件。Facebookユーザー5000万人以上の個人情報が流失し、アメリカ大統領選挙の広告を配信するために使用されました。この件以来、Facebookはプラットフォームの改善をしたと発表しています。
さらに、今年初めFacebookは、ブランド広告やパブリッシャーによるコンテンツを減らし、ユーザーフレンドリーを重視したコンテンツの配信方法にアルゴリズムを変更していくと発表しました。以来、広告主やパブリッシャーはコンテンツのディストリビューションが可能な良質なプラットフォームの模索を始めています。
Apple Newsリリースの背景
GoogleやFacebookのような広告主導ではなく、Appleは良質なコンテンツだけを配信するApple Newsをリリースしました。アメリカではすでに多くの広告主に注目されています。ただし、まだApple Newsには数々の課題が残されています。
今回のブログでは、Apple Newsの利点と欠点を理解し、アメリカで注目されている背景をまとめていきます。
Apple Newsの利点
● PRの効果が大きい
大手デジタルメディア企業のVICEはApple Newsを通して通常の二倍のトラフィックを獲得しました。また、アメリカの女性を対象とするメディア・マーケティング企業のMeredithでは、Apple NewsのメイントピックスでPRし年間122%以上のユニークビジターの獲得に成功。PRによる多くの成功事例があります。
● 機能性が高い
Appleニュースは、Googleの提供するDoubleClickとインテグレーションし、広告主とプレミアムパブリッシャーの連携をプラットフォーム上で可能にしています。また、デジタルマガジンサービスのTextureを開始し、オンライン配信で月間200以上のe-マガジンの提供が可能になるなど、機能性が高いのも特徴の一つです。
● 購読者数の増加
有料記事に登録するユーザーは増加傾向である上に、購読率が高い傾向にあります。
● 良質なコンテンツ
Apple Newsは、トップストーリーや閲覧数の高いトレンドのニュースを配信する「スポットライト」機能を追加しました。
Apple Newsの欠点
● マネタイズの要素が低い
現時点では、広告主のマネタイズに繋がる要素は少なく、高いROIは期待できません。すぐ利益に直結すると言うよりは、一つのマーケティングの方法と考えた方が的確です。それだけ、Apple Newsは初期の段階で厳しく管理されています。
● 暮らしや生活スタイルなどを提供するパブリッシャーには不向き
Apple Newsは、最新の大きなニュースに焦点を置いている為、Facebookで共有されるような暮らしに関わる情報や比較的ライトなニュースに注目するオーディエンスにリーチすることは難しいと言えます。
まとめ
Appleは、Apple Newsの利点と欠点を把握した上でこのニュースアプリを開発しています。良質なプラットフォームを維持しながらマネタイズも考慮された新しい方法を見つけ出すことはそう簡単ではありません。同社は次へのステップを踏む為に、今年に入りApple Newsは動画戦略を実行しています。高品質の動画をアプリに組み込み、「For You 機能(お気に入り)」の上部に動画が表示できるようになりました。また、より多くのトラフィックと可視性を高める為にトップの一部コンテンツはパブリッシャーが購入できるようになっています。一歩一歩新しい提案をし、前進しているアプリです。
Apple Newsのユーザーはすでに6000万人を超えています。Apple Newsが、広告主やパブリッシャーの次なるフロンティアになるのかはまだ断定できない段階ですが、大きなチャンスを逃すまいと、広告主は、このアプリを通してどのように収益を上げられるかの課題に取り組んでいます。
現時点のアメリカ市場では、広告主にとってもパブリッシャーにとってもApple Newsは欠点よりも利点の方が多いと見られています。しかし、広告媒体として利用するには、個人または企業の必要としているニーズに合うのかを判断をし、適切な利用方法を検討することがポイントになります。それには、長期的及び短期的な目標を立て、ROIがどれぐらい期待できるかを想定することが大切です。
良質な広告やコンテンツを配信したい思いは、どの国の広告主もパブリッシャーも同じ思いです。AppleNewsは、その気持ちとユーザーエクスペリエンスを最優先して作られています。日本では利用できないApple Newsですが、今後どのような方法でアプリを展開していくのか楽しみな点が多い注目のニュースアプリです。