中国ソーシャルECサービスとその影響

2019.08.22

ソーシャルECという言葉は日本ではあまり馴染まないかもしれないが、中国では近年爆発的成長を遂げているサービスだ。日本でいうとソーシャルECができるアプリはInstagramぐらいでしょう。

中国では「快手（KWai）」、「小紅書（RED）」、「拼多多（Pinduoduo）」「芬香（Fenxiang）」などソーシャルECアプリが乱立しているが、今回は2019年8月に中国ネット上で大きく話題になった、「小紅書（RED）」について紹介します。

2019年7月30日、小紅書（RED）は中国のApple Store とXiaomi Storeを除く、Tencent、Huawei 、OPPOなど、中国国内のAndroidアプリストアで、ダウンロードができない状態となった。

8月3日には中国Apple Storeからも姿を消した。

中国の各ネットメディアはこれを大きく取り上げていたが、その理由については明確に言及することはなかった。一体、なにがあったのだろうか？

2018年4月Bytedance社の「内含段子（Neihanduanzi）」SNSアプリが、クローズされた。国家广播电视总局（National Radio and Television Administration）からコンテンツに「問題がある」と指摘を受け、最終的にはクローズせざるを得なかったことがある。

「内含段子(Neihanduanzi)」

https://zh.wikipedia.org/wiki/%E5%86%85%E6%B6%B5%E6%AE%B5%E5%AD%90

又、2018年7月「BiliBili」も一カ月ほど、「ダウンロードできない」という事態が発生していた。

では、ソーシャルECアプリ「小紅書（RED）」は一体どんなサービスを提供しているアプリなのか？

・小紅書（RED）

Apple Store:https://apple.co/2KIdWMw

・設立：2013年6月

・創業者：毛文超（Mao wenchao）スタンフォード大学MBA卒業

瞿芳(Miranda Qu)北京外国語大学　卒業

・2015年日本の＠cosmeやPanasonicとビジネスパートナシップ締結

・2017年6月 2時間で売上1億元突破（約1.5億円）

・2018年8月月間売上10億元突破（約14.9億円）

・2019年5月時点ユーザー数2.5億、MAU8500万超え、コミュニティで毎日30億のコンテンツ（画像＋テキスト、ショートムービ）が生成される。うちUGCによってアップロードされた内容が70％を占める。

アプリの特徴：

「インスタグラム」と「アマゾン」が統合したようなアプリと言えばイメージしやすいでしょう。中国発のECアプリで、中国の若い女性を中心に広く普及し、ファン・ビンビンなど有名人が多く使っている。写真や動画をアップして「いいね！」やコメントをつけたり、他のユーザーにシェアしたりと、ここまではよくあるSNSと同じだが、「小紅書（RED）」の大きな特徴は2点あり、1つ目はアプリ内で商品購入が完結できること。2つ目は他のECサイトと大きく差別化されている機能で、ライブ配信しながら物を販売、購入できるSNSプラットフォームで、それを使用したユーザーの生の口コミが確認できることだ。

では、今回の「小紅書（RED）」がアプリストアからダウンロードできなくなったのはBytedanceの「内含段子（Neihanduanzi）」と同じ背景が存在しているのでしょうか？

実は2018年3月に「小紅書（RED）」は「データ改ざん」疑惑を受け、新しい評価制度を公開したばかりだった。続いて5月にはインフルエンサーであるKOL（Key Opinion Leader）を整理を行った。上海消費者保護センターの統計によると2019年上半年だけで、ユーザーからの「小紅書（RED）」への苦情等の通報が1000件を超えたという。

その背景には、「小紅書（RED）」プラットフォームのもっと大きな特徴「口コミ」機能と関連があるようで、「小紅書（RED）」は多数の有名芸能人をインフルエンサーとして招き入れ新規ユーザー獲得とDAU伸ばしてきた。しかし、これまでは利害関係のない般ユーザーによる口コミがコンテンツの信頼性を担保してきたわけだが、そこへ有名芸能人がインフルエンサーとして参入する事で、その口コミの信頼性は揺らぐ様になった。

この問題は中国ソーシャルEC業界の氷山の一角に過ぎず、EC業界全般に存在する問題でもある。

今後「小紅書（RED）」信頼回復のためどのように対応していくかが注目される。

執筆：李燦愛

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